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2011.02.03 (Thu)

斉藤智裕 KAGEROU

KAGEROUKAGEROU
(2010/12/15)
齋藤 智裕

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第5回ポプラ社小説大賞受賞作。『KAGEROU』―儚く不確かなもの。廃墟と化したデパートの屋上遊園地のフェンス。「かげろう」のような己の人生を閉じようとする、絶望を抱えた男。そこに突如現れた不気味に冷笑する黒服の男。命の十字路で二人は、ある契約を交わす。肉体と魂を分かつものとは何か?人を人たらしめているものは何か?深い苦悩を抱え、主人公は終末の場所へと向かう。そこで、彼は一つの儚き「命」と出逢い、かつて抱いたことのない愛することの切なさを知る。水嶋ヒロの処女作、哀切かつ峻烈な「命」の物語。 (BOOKデータベースより)

やっと読めた!話題作であったため、読む前から興味深々でした。最初こそ若干ミーハー感覚を持って読み始めたものの、何ページか読んだだけで見事に小説の世界へ引きずり込まれてしまいました。
お見事です。デビュー作としては高得点なのではないでしょうか。

まず、設定が中途半端でない。練って練って練りまくったのだね、という印象です。架空の臓器移植ネットワークを登場させていますが、細部までリアルな設定を用意しています。まあ、深く追求すると設定に疑問符が出てくる箇所もあったりしますけど。
ううむ、そんなあら捜しをしている時点で、この小説を斜めから読もうとしてしまっている自分に気づく。
私自身は「結構楽しめた」という感想を持ちましたが、それだって、先入観で「その程度」な小説を予想していたゆえ、ということだって考えられるわけですから。
…気を取り直して、感想文に戻ります。

ウンチク系の知識もたくさん登場させ、読者を退屈させない作品になっています。決してスピード感があるわけでないのに、読んでいて「発見」の連続であり飽きません。種類に富んだ豪華な料理が隙間無く詰まっている、おせち料理のような小説です。それが、独特な「ヒロ」小説のリズムを作り上げています。
結構最近デビューしている新人作家の小説の中には、文章だけ読んだら誰が書いたか分からない、個性が無いものも結構見受けられます。その点でも、新人の中では群を抜いていると言えるのではないでしょうか。まあ、処女作だけで作家を評価するのはナンセンスです。次回作を楽しみに待つとします

そして、一つの事柄を多方向から見る「目」。
例えば「自殺」について。この小説の中では、自殺に対する様々な考え方が述べられています。
どんな理由があれ、自分で命を絶つのはいけないこと。これを正論とします。
しかし、本当に死を覚悟した人からすれば、その正論は非常にばからしいものに見えてしまうわけです。
実際に置かれているポジションで考え方が変わるのは当然ですね。どの意見にもそれなりの説得力があり、どこに解があるのか考えさせられてしまいます。
そもそも解なんてあるのかどうか、難しいところですけど。

小説家として「うまい」と感じたところがもうひとつ。
ラストにはそれなりの「オチ」が用意されているのですが、中盤に伏線が用意されています。ものすごく、さりげなく。伏線の段階で、ラストがそうなるなんて予想できませんでした。えー、そうきたの!?伏線とオチが繋がったとき、自分の中で電流が走ってしまいました。
すごいよ、ヒロ。伏し目がちにPCを見ながら次回作をタイピングする水嶋ヒロ。絵になるわ~想像しただけで、ニコニコしてしまいます。ああ、絢香になりたい。
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テーマ : 最近読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

09:30  |  斉藤智裕  |  コメント(2)
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