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2010.12.03 (Fri)

青山光二 吾妹子哀し

5人目の作家さんです。
まず、タイトルが読めなかったです。「わぎもこかなし」と読みます。
図書館プロジェクトを始めて、ようやく「おすすめだよ!」と宣言できる本に出合えました。


吾妹子哀し吾妹子哀し
(2003/06)
青山 光二

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アルツハイマー型認知症で、妻の杏子は記憶を喪いつつあった。失禁や徘徊を繰り返し、介護にあたる夫の圭介を当惑させるのだが、齢九十を前にした夫は、老いた妻の姿に、若い日の愛の想いを甦らせていた。...おれは何とこの女を愛していたことだろう。今も愛は生きている。自分の愛に責任を持たなければ―。実体験に基づく究極の夫婦愛を謳って、川端康成文学賞を受賞した名篇。(BOOKSより)

個人的に感じたんですが、「自分の愛に責任を持たなければ」という文句は一見美しいものですが、それって本当の愛ではないんじゃないかと思います。愛は何も考えない無償の行動ですよね?責任を持たなければ、って自分の気持ちに強制をかけているのは愛と言えないんじゃないでしょうか?
・・・なんて、ひねくれた事を考えてみました。
でも、この小説の杉と杏子は、愛で結ばれています。間違いありません。

もし、自分の家族がアルツハイマー型認知症になったら。想像しただけで辛いです。
記憶が消えていく。思い出だけじゃない。絶対忘れるはずが無い、自分の娘のことをも忘れてしまうなんて。
行動にも特異性が認められます。小説の中で、杏子が来客に対し持っていった「お菓子」は、杏子自身に処方された病院のカプセル剤だったりします。けれど、本人はいたって真面目です。

アルツハイマー型認知症では、記憶の消去に加えて、介護の問題も生じてきます。
この小説では、痴呆の妻・杏子を、老齢の夫・杉がつきっきりで介護しています。
でも、とても不謹慎な言い方ですが、あまり大変そうな描写ではないのです。
もちろん、やっていることは面倒なことばかりです。服を着せたりオムツを替えたり、徘徊しないように紐で手首をくくったり。
それでも、杉はそれを大変なことと思わず、淡々と行っています。
そこに愛があるからです。

序盤は認知症の杏子の行動について書かれているのですが、中盤辺りから、夫婦のなれそめについて語られ始めます。
そう、この小説はアルツハイマー型認知症がテーマではないのです。言わなくても分かるかと思いますが、真実のテーマは「夫婦の愛」です。

小説の中で、杏子が自分の居場所を、過去に住んでいた場所と間違えるシーンが出てきます。
そこには、こう書かれていました。
「杉は妻を抱いた。自然に唇を合わせた。可愛いと彼は思った。可愛い妻が帰ってきたと、そう思った。」
ジャイ、女泣きしました。二人の間には、何にも屈しない確かな愛があるんだー。

ちなみに、過去のなれそめを語るシーンに「牧子」という女性が出てくるのですが、この女性の行動が面白すぎます。杉に横恋慕し、ありとあらゆる邪魔をするのですが、結局捨てられる哀しい役どころです。きっと、こういうキャラが昼ドラに出てきたらとても盛り上がるんだろうなと思います。
もしこの小説を読まれる方がいらっしゃったら、牧子の行動も要チェックで
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テーマ : 最近読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

09:30  |  青山光二  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)
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