2017年06月 / 05月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫07月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告

2010.12.05 (Sun)

青山真治 サッド・ヴァケイション

サッド・ヴァケイションサッド・ヴァケイション
(2006/07/28)
青山 真治

商品詳細を見る


血に抗うがゆえに、血脈から逃れられず墜ちていく男と、血脈だけに縋りながら、血に裏切られ慟哭する女―。お互いの存在を深く封印した二人の運命が再び交わったとき、新たな悲劇が幕を開ける。北九州を舞台に、三島賞受賞作『ユリイカ』、劇場映画デビュー作『Helpless』の先に拓かれた圧倒的な物語の荒野。(BOOKSより)

ん?「ユリイカ」「ヘルプレス」って何だ??
ジャイはこの「サッド・ヴァケイション」しか読んでいないが、どうやらこちらは「北九州サーガ」と呼ばれる三部作のシリーズ物の最終章に位置しているようです。あらら、今知りました。
さらっと調べたら、登場人物も重複しているみたい。もしかして、これ(サッド・ヴァケイション)だけ読んで感想文を書こうとする行為は、かなり無謀な挑戦なのではないでしょうか。
「サッド・ヴァケイション」だけ読んでも楽しめはしましたが、三部作を全て読んだら、より理解が深まるでしょう。
でも今回はしょうがないので一作だけの感想文です。

ちなみに「青山真治監督」でこの小説は映画化されています。こちらは、サッド・ヴァケイションだけの話になっているようだけど。

小説の大きなテーマは「女の強さ」、あと「母性」かと思います。
主人公の健次は、5歳のとき母に捨てられます。
しかし、月日が経ったある日、とあることから母と再会します。
再会した母、千代子の性格・行動が、「母性」だけで片付けられないほどアブノーマルなのです。
血が繋がっているというだけで、これだけ常軌を逸した行動が取れるのでしょうか?
千代子の健次に対する愛は、愛と呼んでいいのか分からないほど歪んでいます。

千代子の再婚した夫・間宮が、登場人物の一人・冴子にこう話すシーンがあります。
「いまの千代子はのう、おかしなっとったい」
しかし、冴子はこの間宮のセリフが耳に入ってきません。
実はこのとき冴子は妊娠していました。千代子と同じ、「母」になろうとしていたのです。
間宮には分かりえない「母性というものの不可解さ、強さ」というものが、冴子には分かったのかもしれません。

たまにワイドショーを見ていると、殺人犯の家族のインタビューが出てくることがあります。
どんな凶悪な犯罪を犯していても「信じてます」と、子供を擁護するベクトルの発言が多いです。
それだけ、血が繋がっているという事実は、ちょっとのことでは揺るがない、重く責任あるものなのでしょう。
自分が子供をこの世に誕生させたという義務感がそうさせるのでしょうか。

母性の強さなるものを扱った小説は他にもたくさんあると思います。
でもそれらは全て母性の素晴らしさ、プラスの部分に焦点を当てたものです。
サッド・ヴァケイションはそうではなく、同じ母性をテーマにしていても、どこか怖い印象を受けます。
強いという結論に変わりはないのですけど。

母性。少し視点を変えるだけで、随分ぶっ飛ぶもんだなあ。
こげんな感想を持ったばい。と、エセ九州弁で終わってみることにしよう。
スポンサーサイト

テーマ : 最近読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

09:30  |  青山真治  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

2010.12.04 (Sat)

青山真治 死の谷’95

死の谷’95死の谷’95
(2005/11)
青山 真治

商品詳細を見る


暴力と死。その気配はエロスの霧となり意識を微睡みへ誘う。逃亡した獣だけが辿り着く場所、水底深く、暗闇の先に―。闇の中でシャーマンは、拒まれた者たちの歌を奏でる。生物の存在すらをも許さない、「死の谷」のほとりで。喪失と孤独、その先の希望。人、絆の物語。青山真治の新境地、「人の願い」その究極の姿を描き出した傑作長編小説。 (BOOKSより)

小説を全て読んでからブログを書いてるわけですが(当たり前だ)、上のBOOKSあらすじは、小説の中身とイメージが全然違う気がします。エロスの霧って何だよ・・・

かいつまんで説明すると、このようなあらすじです。
主人公・次郎のもとに、兄の一郎から依頼があった。その依頼とは、兄嫁の浮気調査というもの。次郎は兄嫁を尾行するが、その兄嫁は太平洋へ投身自殺する。そこで物語は終わったように見えたが、実は・・・

登場人物について、第一印象と真逆の性格の方が多いような気がします。
次郎は、小説の中で「のん気な落ちこぼれ、兄の結婚式にも呼んでもらえなかった」とあるため、ひどいロクデナシなんだろうと決め付けていたら、正義感の強い行動的な青年でした。
兄嫁も、小説の中で「美しい女、いい女、痩せ気味」とあり、勝手に清楚な女性を想像していましたが、現実はブラックジョークまで飛び出すかなりの茶目っ気たっぷりな女性でした。
人物描写が独特な気がします。
作者の青山真治さんは、映画監督でもあるそうです。ちなみに奥様は女優のとよた真帆さん♪
小説の独特のスピード感とか、人物描写とか、映画監督の視点なのかなあ?
好みは人それぞれかと思いますが、ジャイは結構好きです。

最後まで読むと、事の真相が判明し「ええっ!」と驚くことでしょう。
彼女、そんな大仕事をそんなひとりでやっちゃったの!?と、ありえない展開に笑ってしまいます。
そこまで彼女を追い詰めたものって何だったのだろう。
失ったものは大きかったかもしれませんが、現在の彼女の幸せな姿を見ると、彼女が○(ネタバレになるから・・・)を失った過程というのは、幸せにたどり着くためのイニシエーションだったのかなと感じます。
えっ、なんでイニシエーション(通過儀式)っていきなり横文字を使ったのかって??
分かりません。

青山小説、結構面白いです。次の小説も早く読みたいな~。

テーマ : 最近読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

09:30  |  青山真治  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)
 | HOME | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。