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2011.10.16 (Sun)

有村かおり リサレクション

リサレクションリサレクション
(2005/12)
有村 かおり

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とうとう、出会ってしまったと思った。二人はゆっくりと恋の扉を押しあけ心の叫びを知った。元TBSキャスターが全てを注いだ、珠玉の恋愛小説。

きれいな描写の小説です。そこが有村かおりの良さであると思います。
でも、そういうきれいな描写では、この小説のテーマを書ききるのには不十分だったのかもしれないな。
そんな感想を持ちました。
この小説の物語が現実に展開されたら、もっとドロドロした場面が出てくるはずなのです。重くて辛い、人間同士のぶつかり合いがあるはずなのです。それがあまり伝わってこない。言い争いにしても何にしても、とても美しく、型にはまった感じでまとまってしまっているんですよね。
きれいなので読みやすくはあるのです。そして、丁寧にラストシーンで筆者の言いたいことも文章になって表現されている。そうだね、つまりは「リサレクション」、魂の再生について言いたかったんだね、と。
こういった書き方の小説だと、読み手が100人いたところで、100人全員が同じ感想に落ち着いてしまうと思うのです。

そもそも、淳二(主人公の夫)のキャラの書き方が悪すぎて、誰が読んでも、これじゃあ主人公とはうまくいかないよねー仕方ないよねという同情の念を抱いてしまうと思うのです。
ここではあえて、淳二をとても良い人物として書いてみるのもアリだったのではないかと思います。
「夫に対しては何も不満は無かったんだけれど、夫よりさらに居心地の良い居場所を見つけてしまい、どうしようか悩む」 くらいのストーリーのほうが、面白いものが書けたんじゃないかと思うのです。
読み手に選択肢を提供するのが小説の役割なんではないかと思うので。
ワハハ、えらそうなことを言っちゃってごめんなさい。いち読み手の勝手なワガママですー。

読み手の心にズコンと訴えたいのなら、もっとリアルな描写が必要だったように感じます。
でも、きれいにまとまっている小説は、それはそれでポジションを得た読み物になっているのかなあと。
ふわふわと、おとぎ話を読んでいるかのような感覚になるので、さらりと読むならよい小説です。
それが筆者の意図している読み方なのかどうかは、分かりませんが。

そして読み終わった後に感じたのは、結婚とは、他人や世間体のためにするんじゃないということ。
どれだけ外側(社会的立場、年収…等)の条件が揃ったパートナーと一緒にいたとしても、内側に共感できるものがなければ、一緒にいたって虚しいだけなんですね。
数々の不満を持っていたけれど目を伏せて生きてきた主人公が、それらを捨て去って新しい人生を選択するラストシーンは気持ちよかったです。まあ、もっとリアルに書けだの、意見要望を書きまくった後で言うのも何ですが。
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09:36  |  あ行その他  |  コメント(0)

2011.07.03 (Sun)

有川浩 ラブコメ今昔

ラブコメ今昔ラブコメ今昔
(2008/07/01)
有川 浩

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突っ走り系広報自衛官の女子が鬼の上官に情報開示を迫るのは、「奥様のナレソメ」。双方一歩もひかない攻防戦の行方は?(『ラブコメ今昔』)。出張中新幹線の中で釣り上げた、超かわいい年下の彼は自衛官。遠距離も恋する二人にはトキメキの促進剤。けれど…(『軍事とオタクと彼』)。「広報官には女たらしが向いている」と言われつつも彼女のいない政屋一尉が、仕事先で出会ったいい感じの女子。だが現場はトラブル続きで…(『広報官、走る!』)。旦那がかっこいいのはいいことだ。旦那がモテるのもまあまあ赦せる。しかし今度ばかりは洒落にならない事態が(『青い衝撃』)。よりによって上官の愛娘と恋に落ちてしまった俺。彼女への思いは真剣なのに、最後の一歩が踏み出せない(『秘め事』)。「ラブコメ今昔」では攻めに回った元気自衛官、千尋ちゃんも自分の恋はいっこうにままならず…(『ダンディ・ライオン―またはラブコメ今昔イマドキ編』)。 (BOOKデータベースより)

自衛官をテーマにした短編集です。少々ベタな展開もありましたが、それでも面白いものは面白い。
ではでは、各短編について自分なりの感想をば。

『ラブコメ今昔』
今昔という単語の意味に、最後の最後で気づかされました。ええのー、ええのー!心がほんわかする短編です。自分も一度でいいから「お見合い」というものを経験してみたかった。「あとは若い者にまかせて」と言われたい。そして、「ご趣味は?」「漬物を少々」…漬物!いやー、いいですね。堅物の今村と、ほんわか天然な邦恵の相性は抜群だと思います。言葉のやり取りを聞いているだけで、癒されました。

『軍事とオタクと彼』
ヒロインの歌穂が感情をあらわにする(泣いたり怒ったり)シーンが多いです。けれど彼氏の森下とはほとんどケンカなし。森下の性格が温厚で、歌穂の怒りを受け止めて凪にしているような、そんな二人なのです。にしても、こんな出会い方もありなんですね。運命の人と出会えたのは、電車の中だった!…結婚式で言ったら、盛り上がるだろうなあ。

『広報官、走る!』
恋愛よりも、テレビ関係者はこんなにルーズで性格が悪いものなのかと、そちらに視点が向かってしまいました。セクハラも結構ありそう(憶測ですが)。そんな職場で頑張っている汐里ちゃんの苦労を察し、切なくなりました。短編の後半は、自衛官の使命について考えさせられます。「いちいち怖いなんて思っていたら自衛官なんか務まらない」…そうですよね。この短編集の中で、一番感動したのがこちらでした。自衛隊とはかくあるもの、そんなメッセージが伝わってくる短編です。
性悪なテレビ関係者、自衛隊の使命。それらのインパクトに押され、一応恋愛シーンもあるのですが、完全に負けています。

『青い衝撃』
紘司の目線で女性を好きになれる男が、この世にどれだけいるんだろうかと感じます。頭脳明晰、子煩悩、容姿端麗と非の打ち所が無いと思われた紘司ですが、制服の襟に何度も何度も手紙をしのばされていたことに全く気が付かなかったという超鈍感な一面が。いや、そんなもの欠点のうちに入らないよなー。紘司みたいな男性が近くにいたら、頑張って狙いにいきましょう。その時は、ぜひ「爪」をきれいにしていってください(少々ネタばれです)

『秘め事』
上司の娘と恋に落ち、その結末に至るまでの物語なんですが、他の短編より「ご都合的」な展開が多すぎなように感じました。宮崎君の命が軽すぎます。上司との決闘シーンもなんだか喜劇のようでした(ごめんなさい)。ラストも簡単に予想できてしまいます。私の中では一番微妙な短編だったのですが、救いはヒロイン有季の人間性に感銘できたことです。控えめな外見に隠された、一本の太い芯が見えました。うん、本当にいい女。

『ダンディ・ライオン―またはラブコメ今昔イマドキ編』
明るい女性とオクテな男性のラブストーリー。そして女性のほうが階級が上ときています。予想通り、最初は女性からガンガン攻めていきます。ドラマ、マンガではよくある展開だと思うのですが、私自身この展開は嫌いじゃないので楽しく読ませていただきました。千尋ちゃん、かわいいー。

こうして全ての短編をざっと振り返ってみると、なんとなく各短編で恋に落ちた二人というのは、似たもの同士ではなくて、むしろ正反対の性格同士なんではないかと感じます。凹凸を埋めあい補完しあえる関係、ということなのでしょうか。

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07:25  |  有川浩  |  コメント(2)

2011.05.25 (Wed)

有川浩 キケン

キケンキケン
(2010/01/21)
有川 浩

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成南電気工科大学機械制御研究部略称「機研」。彼らの巻き起こす、およそ人間の所行とは思えない数々の事件から、周りからは畏怖と慄きをもって、キケン=危険、と呼び恐れられていた。これは、その伝説的黄金時代を描いた物語である。 (BOOKデータベースより)

正直に書きますが、途中まではノベライズみたいな内容です。
文章に書いてあることが全て。想像力の働く余地がありません。また、登場人物たちは、分かりやすすぎるほど役割が決まっていて、ある意味全くムダがありません。だから余計に想像が膨らまない。「有川浩の小説だから」と楽しみに読み始めたのですが、何となく興ざめしてしまいました。

エンタメ性は抜群です。とても楽しいです。
ラーメンダレの作り方は興味深く読ませてもらいました。鶏がらの臭みを取るには血合いを取ることが必須。そしてスープは鶏がらでも実は豚のダシも必要なのですね。ふむ、勉強になりました。
にしても、まさか学校祭の出店で使われるラーメンのために、ここまで大学生たちが試行錯誤するだなんて!馬鹿馬鹿しいことに、とことん一生懸命になれるメンズたちの姿が眩しい。

そしてまた、そこそこの偏差値のはずの大学生が、銃もどきの物体を簡単に作ってしまえることにも驚きました。
部室に置いてあった備品を使い、ちょちょいと完成させてしまったのです。ええっ、そんなもんなの!?
理系ではない自分には分からない世界です。

でも、やっぱりノベライズの域を超えないなあと思いながら読んでいたのですが…
ごめんなさい。すみません。
やはりこれは有川浩の小説でした。ラストまで数ページというところから「小説」が始まりました。
登場人物の一人である元山君が、妻を連れて母校の学祭に向かうシーンです。
元山君は、こう考えます。

学祭に行ってももう自分は客にしかなれない。
あの祭の当事者にはなれない。
もうあの場所は俺たちの場所じゃないんだ。

この文章を読んで、私は泣きそうになりました。ものすごく共感できます。そうなんです、楽しかった大学生活はすでに過去の記憶の中にしか存在しないのです。大学に足を運んでも、そこは自分たちがいた大学とは何かが違うのです。
違うシチュエーションでも、同じ感情を抱くときがあります。
高校の卒業式の後、がらんとした教室の中に佇んでいるときだったり。
卒業した小学校の運動会を通りすがりに眺めてみたら、なんだか迫力に欠けているように感じたり。
そう、その瞬間が楽しかったかどうか気づくのは、それが終わってからなのです。
そうだよね、そうなんだよね。
このメッセージを伝えるためにノベライズ部分があったとするのなら納得です。
登場人物たちは、大学を卒業した後には普通の生活を送っているようです。あの上野君も、結婚してからは落ち着いた性格になったようですし。そういう設定を作って現実世界を強調させ、過去の大学時代の楽しさをピカピカに映えさせているんだろうなあ。やはり有川浩は素晴らしい作家です。

ちなみに、ロボット相撲大会の決勝戦の相手「チーム・メカ次元」。ゴールドライター号を操るのですが、ロボットの名前の由来を司会者から訊かれ「まあ私たちの年代ですとねえ」とメンバーのおっさんたちは笑うのですが、私は分かりませんでした。調べてみたら、80年代に流行った「ゴールドライタン」というロボットアニメから来ているようです。個人的には、次元ときたら大介を連想してしまいます。まあ、これはどうでもいいや…



キケン - 道楽猫の図書室

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08:07  |  有川浩  |  コメント(6)

2011.04.13 (Wed)

阿部和重 グランド・フィナーレ

グランド・フィナーレグランド・フィナーレ
(2005/02/01)
阿部 和重

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終わり、それとも始まり……神町を巡る物語。
「グランドフィナーレ」という名の終わりの始まり。
毎日出版文化賞、伊藤整賞W受賞作「シンセミア」に続く、
二人の少女と一人の男を巡る新たなる神町の物語。
第132回芥川賞受賞作。 (内容紹介より)

エンタメ寄りなイメージの芥川賞作品で、あまり敷居の高さを感じずに読めると思います。
主人公の沢見さんの語り口は非常にまともであり、どうしてこんな良い人が離婚されてしまうの?と思っていたら、少しずつ明かされていく事実に驚かされ、呆れてしまいます。「第一印象は重要です」という言葉を思い出すなあ… 
確かに、最初に「少女ヌード撮影を副職としていたロリコン男で、モデルの小学生とも寝たことがあり、バレて離婚し現在は独身」という主人公のプロフィールを教えられたら、読者はそのフィルタをかけて小説を読み進めてしまうでしょう。
阿部和重という作家は、読者を意識的に引っぱっていける筆力を持っていると思います。
…ただ思いのままに書くというのも小説の書き方です。あまりプロットを練らずに、結末を決めずに、とりあえず書き始める。村上春樹がそんなタイプだと聞いたことがあります。村上春樹は村上春樹の良さがあると思います。それもまた優れた才能だと思います。簡単に誰にでもできることではない。
対して、阿部和重は全てを計算して小説を構築しています(私が感じているだけなので本当のところは分かりませんが)。意識的に読者の心情を操り、ポイントを用意して一気に小説の世界へ連れて行く、そんなイメージがあるのです。

途中まで読んで、これはロリコン男の転落人生劇場なんだろうかと思いきや、物語は急展開を迎えます。ロリコン男に、二人の少女を守ると言う使命が課せられます。全く結びつかない出来事、読めない展開が面白く、小説を読んでいていろんなところへ連れて行かれます。最近、川上未映子の「乳と卵」を読みましたが、同じ芥川賞でも全然違います。「乳と卵」が静か、淡々としたイメージであるのに対し、「グランド・フィナーレ」はものすごく動のイメージ。

使っている比喩が現代風なのも面白いです。
(引用)Yにとっては私のプロフィールなど、ワンルームマンションの玄関によく散らばっているデリヘルや廃品回収業者の宣伝チラシと同程度にどうでもいいものでしかないのだから。
…うん、確かに、どうでもいいよね。分かりやすい。美しい言葉や珍しい言葉を多用するだけが文学ではないんだと感じます。

「神町」という架空の町を舞台にした物語ですが、サーガ物となっており、他の著書を読めば更に理解が深まるということです。確かに、読後にちょっと謎が残る部分もありました。とりあえず、相棒の人形にはもう少し深い意味があるんじゃないかと思います。それから、小説内に、神町について説明程度に少しだけ語られた出来事があったのですが、それもおそらく他の著書を読めば明らかにされるのでしょう。
読んでみたい気もするけど、今はいろいろ他に読んでみたい本があるので、あ・と・ま・わ・し

いつも、決めかねている曖昧なことはとりあえず後回しにして、結果忘れてしまう私です。
きっと、他の著書は読まないだろう。そんな気がする。

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08:35  |  阿部和重  |  コメント(2)

2011.04.05 (Tue)

甘糟りり子 中年前夜

中年前夜中年前夜
(2007/05)
甘糟 りり子

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私はいつまで女でいればいいのか?うまく枯れていくことができない中年モラトリアム世代の心情を綴った衝撃のアンチエイジング小説。(BOOKデータベースより)

夏目漱石「こころ」の後に読んだのですが、ものすごく対照的な二冊です。会席料理の後に、ファミレスで塩辛い料理を食べちゃったよーという感想です。酷評ですがごめんなさい。
「女性セブン」に連載されていたという小説です。
週刊誌の読者に対し、不倫、整形、老いへの不安、若い女への嫉妬、ホストなど…分かりやすすぎるほどの共感を狙った内容です。あまりにも陳腐な展開と内容で、本の厚さはあるけどペラペラな小説です。
おそらく筆者も書きたくて書いた内容ではないんじゃないかなあ。編集部からのリクエストだったのかしら。
ただぼーっと読んでいるだけで登場人物の心情がありありと分かってしまい、想像力の働く余地がありません。頭を使わなくても読めるので、がーっと一気読みができてしまう小説です。
冒頭に、福引の景品で当たった生花のバラが奇妙な枯れ方をしているという光景が出てくるのですが、「縮れたバラは自然に枯れていけない自分たちだった」とあります。もう、バラの配置がわざとらしすぎます。思わず苦笑してしまいます。
主要な登場人物として女性が三人出てきますが、その三人の境遇があまりにも違いすぎるのに、仲良くなって三人で温泉に行ったりしています。どんな三人か。登場人物を突然に紹介します。
真澄→専業主婦。一生懸命家事をしているが、旦那と娘から全く感謝されない不毛な毎日を送っている。世間慣れしていない、天然な部分あり。
蘭子→独身。出版社の契約社員。シモネタ関係の記事も任せとけ。ホストクラブに通う。女を捨てた豪快な性格。
夕子→バツイチ独身。美容整形外科の院長の愛人をやっている。マンションやコート、旅行代など全部愛人持ち。ちょっとだけウラヤマチイ。
こんな個性的な三人が仲良くなれるわけないでしょう。。そんな光景も小説=フィクションならではのものですね。絶対ありえないと思いながらも、一応楽しみながら読んでいました。

とりあえずラストまで読み進め、最後の最後でようやく「オッ」と思える展開がありました。
主要登場人物三人のうち、蘭子と夕子はまっとうな幸せに向けたハッピーエンドと言える生活を手に入れたのですが、真澄だけが、前進したようで空回りしたラストとなっています。考えさせられるラスト。
この小説を読んで、良かったと思える部分は、ここくらいのものです。

「女性にとって、いつからが中年ですか」と問いかけられたとき、一つの答えになりうるものとして、
「性を売る側から、買う側に転じたとき」というのが挙げられる。そう感じました。

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08:25  |  あ行その他  |  コメント(2)
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