2017年06月 / 05月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫07月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告

2011.01.23 (Sun)

浅田次郎 月下の恋人

月下の恋人月下の恋人
(2006/10/21)
浅田 次郎

商品詳細を見る


これで最後、恋人と別れるつもりで出掛けた海辺の旅館で起こった奇跡とは?(表題作)昭和が昭和であった時代。ぼろアパートに住む僕の部屋の隣には、間抜けで生真面目で、だけど憎めない駄目ヤクザが住んでいた…(風蕭蕭)。これぞ短編。これぞ小説。名手が五年の歳月をかけて書き綴った、心をほぐす物語。人を想い、過去を引きずり、日々を暮らす。そんなあなたを優しく包む、浅田次郎待望の最新刊。 (BOOKSより)

浅田次郎大先生の短編集は、さ・す・が!老若男女誰もが楽しめる一冊となっております。
主人公が少女であっても、58歳の企業家の男性であっても、アルバイトを点々とする金無し学生でも…キャラクターがとにかく生き生きと書かれています。
それでもってストーリーはどの短編にも若干のファンタジーが入っていて、読後に謎が残る。「これって結局どういうことだったんだ?」と、さまよえるジプシーになる自分がおりました。けれども、なぜか不完全燃焼にはならないのだ。さすが大先生。買いかぶっているつもりは無いけれど、やっぱり面白い。

と言うことで、面白い短編集を、ストーリーの核心にはなるべく触れずにご紹介していきたいと思います。
他の短編も秀逸だと思いますが、ここではとりあえず三つだけ取り上げてみました。

結論が完璧に隠されているのが「黒い森」という短編。
主人公は同僚の女性と婚約するのですが、その女性には何か大変な謎があるようです。
周りの反応、主人公の母親の動揺ぶり、空白の十年間。小説の中で様々なことが語られるのですが、どれをどう組み合わせても、女性にどんな秘密があるのか全く読めないのです。謎が明らかにされないまま、終了。
これってすごく怖いです。どんなミステリーやホラーより、怖くなる。
ぶつ切りじゃねーかと評する人もいるかもしれないな。そう感じちゃったら、それまでなんだろうけど。

同じように、ぶつ切り状態の短編が「情夜」。
謎の女の正体は一体なんなんだろう。短編内にはいくつか伏線のようなものがあるのだが、結局何も明らかにされないまま終了。想像だけが膨らむ短編です。
けど、この短編の中には、家族の愛が織り交ぜられていて、泣かされます。離婚しようとしている夫婦がいて、妻は夫を想って、夫は息子を想って、別離の道を選ぶ。のんだくれ親父と息子の会話シーンにジワリときます。

生きることへの希望が見出せる前向きな短編が「忘れじの宿」。(この短編はぶつ切りではない)
妻に先立たれた男が、旅先の宿でマッサージを受ける。
マッサージ師の女性が、京都弁で「生きること」について男へ助言します。
これがもう、女性のセリフをここに全て書き出したいくらい、素晴らしいことを言ってくれるのです。

面白かったなあ。一冊しか読んでないのに、たっぷり読書したなーという満腹感でいっぱいです。げっぷ!!
スポンサーサイト

テーマ : 最近読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

09:22  |  浅田次郎  |  コメント(2)

2011.01.18 (Tue)

浅田次郎 ハッピー・リタイアメント

ハッピー・リタイアメントハッピー・リタイアメント
(2009/11)
浅田 次郎

商品詳細を見る


定年を四年後に控えた、しがない財務官僚・樋口慎太郎と愚直だけが取り柄の自衛官・大友勉。二人が突如再就職先として斡旋されたJAMS(全国中小企業振興会)は、元財務官僚の理事・矢島が牛耳る業務実体のない天下り組織。その体質に今イチ馴染めない樋口と大友は、教育係となった秘書兼庶務係の立花葵から、ある日、秘密のミッションを言い渡される…。 (BOOKSより)

浅田次郎が書く天下りというものに興味があったので、読んでみました。
お、おもしろい。読んでる間、何度か一人で笑ってしまいました。
天下りを取り上げて、ここまでのエンタメ作品にしてしまった浅田次郎大先生に拍手です。
こんな微笑ましい小説を読んだのは、森見登美彦の「ペンギン・ハイウェイ」以来でしょうか。
自衛官が出てくるあたりが浅田次郎っぽいなと思うけれど、こんなコミカルな作風もいけるんですねーという、新たな発見をさせていただきました。

官僚や天下りをテーマにした小説は、ジャイも何冊か読んでいます。
それらのほとんどは、公務員の「ザ・お役所」な性格や行動について、奇抜な着色を加えて書かれています。で、そんな公務員のなあなあな生き方を、別の登場人物が「それじゃダメだ!」と言って少しずつ変えていくという、ワンパターンな内容が多いような気がします。
(って、個人的な感想です。全てが当てはまるわけではありません)
この小説は、そんなワンパターンの小説ではありません。

浅田次郎の書く文章は本当に分かりやすくて、すーっとアタマに入り込んできます。
「終身雇用と年功序列の矛盾=四角形と三角形が実は同じ形をしているという超幾何学」という表現、いいですね。もし将来、自分の子供が「天下りってなーに?」と質問してきたら、これを使わせてもらいます。
やっぱり、国というのは勝手な組織だと思います。
けれど、この小説を読んで湧きあがる感情は、怒りではなく、笑いです。

この小説は、天下りの問題だけでなく、引きこもり、焦げ付き・不良債権の問題など、様々な現代社会の負の面が書かれているにもかかわらず暗くないのです。
それは、主人公のオッサン二名が、非常に個性的かつ前向きだからでしょう。
真面目に考えれば「でも結局それって業務上横領になるんじゃ?」などと考えてしまうのですが、そんな読み方はナンセンス。オッサン二名の面白さに乗せられて、「こんな展開あるわけないよー!」と思いつつも小説を楽しみ、読後はオッサン二名の幸せな今後を祈る。そんな軽い読み方でいいんじゃないかと思います。
日本の負の面にスポットを当てつつ、日本という国は色々大変だけどこんなに楽しい生き方してもいいんじゃない、という前向きな気持ちになれる小説です。

テーマ : 最近読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

11:20  |  浅田次郎  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)
 | HOME | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。