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2011.02.26 (Sat)

阿刀田高 花あらし

花あらし花あらし
(2001/02)
阿刀田 高

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「一度会いに来るよ」―愛しい夫の言葉を頼りに、夫の故郷を訪ねた妻が満開の桜の中に見たものは…。美しく妖しい味わいの表題作ほか、白い蜘蛛とも、白い蟹とも、白い手首とも見えるものが、月光の下を這いまわる不気味な感触の「白い蟹」など、新鮮なアイデアと巧妙な仕掛けが生きる12編。きっと泣ける純愛ホラー。達人アトーダの名人芸をたっぷりお楽しみください。 (BOOKデータベースより)

ほとんどのショートショートに、「夢」が出てきます。夢か現実かの境目が曖昧な、阿刀田不思議ワールドに誘われました。
そして阿刀田先生はギリシャ神話がお好きなようです。ギリシャ神話のエピソードを盛り込んだり、「ハムレット」が出てきたり(一応補足しますがシェイクスピアの「ハムレット」にはギリシャ神話の「エディプス・コンプレックス」を象徴するシーンが出てくるのです)。私もギリシャ神話は結構好きです。でも、そこまで詳しくないので、ギリシャ神話を肴にして酒が飲めるかと言われればNOですけど。

面白かったショートショートを挙げると、まずは「選抜テスト」。
人生の分岐点において、主人公が夢の中で「試験」を受けるのですが、その問題がとても難解なのです。そして試験を受けた主人公に、試験官が言ったコトバとは…
ストーリーを読むだけでも楽しめますが、そのなかには人生の教訓も織り交ぜられています。

そして「すきま風」。
ある主婦が、子育てが一段落したのをきっかけに再び仕事を始めたのですが、それから深夜にいたずら電話がかかってくるようになりました…
女性の嫉妬は怖いものだという、かなりブラック度の高いストーリーです。

タイトルにもなっている「花あらし」。
亡くなった夫が、生前に妻へ「死んだら会いに来る」と約束するという、結構いろんなところで多用されているストーリーです。それなのに、やっぱり読むと感動します。単純だ。

そして個人的に一番気になったのが「鰐皮とサングラス」という作品でした。
この物語には、永井という男性と、その妻が出てきます。
で、旅先にサングラスをかけた妙な男がいて、その男は結果的に殺されるわけです。
で、その永井さんについての呼び方が「永井氏」と「夫」の二種類があるわけです。三人称で語られている小説なのにどうして?使い分けている意味があるんだろうか。も、もしかすると、あの男を殺した犯人ってまさか… なんて勘ぐってしまい3回くらいショートショートを読んでしまいました。真相は不明でしたが、まあこんな読み方もできたという参考のために、ブログに書き残しておこうと思います。
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09:00  |  阿刀田高  |  コメント(0)

2011.02.16 (Wed)

阿刀田高 黒い自画像

黒い自画像黒い自画像
(2003/05/31)
阿刀田 高

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いるはずのない、もう一人の自分、ありえたかもしれない、もうひとつの人生。なぜかふいによみがえる過去。日常の底が抜け限りなく落ちてゆく―精妙な筆致で綴った傑作短篇集。 (BOOKデータベースより)

最近、阿刀田高の著書「短編小説のレシピ」という面白そうな本を買いました。
しかし、恥ずかしながら、著書は一冊も読んだことがありませんでした。
…いや、正直に告白します。ごめんなさい。実は名前も聞いたことありませんでした。直木賞の選考委員をされていたり、結構すごい方みたいですけど。エヘッ。
「短編小説の~」を読む前に、実際に阿刀田作品を読むべきだ。そう思って、手に取ってみた本でした。

うん、これは短編でなくショートショートですね。
驚くほどシンプルな書き方で、全く贅肉が無いという印象です。
(引用)オフィスの昼下がり。
    電話のベルが鳴った。
   「もしもし」
    短い声を聞いただけで久彦とわかった。五年前に別れた夫である。

自分はこれまで、小説というのは「描写」部分で筆者の個性を感じるものだと思っていましたし、そこで面白さが決まるもんだと信じていました。でも、阿刀田ショートショートには個性的な描写がほとんどありません。それでも面白いというのは、やはりストーリーが優れているということなのでしょう。特にショートショートは「オチ」がかなり重要になってくるジャンルだと思っています。

掲載されていたショートショートの中で、お気に入りは三つ。「香水」、「赤道奇談」、「車輪」です。
どんな話か書いてしまうと面白くなくなってしまうので、もし気になった方は、読んでみるといいでしょう(って、丸投げしちゃったよ!)

阿刀田ショートショートには、中途半端な「時代」を感じさせる描写がほとんど出てきません。
直接の感想からは外れますが、それはこの本が「資産」になりうる条件をクリアしていると言えます。
つまり、50年後にこの本を読んだ読者も、ジャイと同じように楽しい気持ちになれるということです。
例えば、華やかな女性が登場したときに「浜崎あゆみのような~」のように芸能人を持ち出す小説を読んだことがあります。後は「シャギー」や「ポケベル」とか。うーん懐かしいですね。こういった単語って、流行が終われば途端に古くなり、その小説に感情移入できなくなる可能性を秘めていると思います。
「浜崎あゆみのように目が大きい」なんて言ったところで、おそらく50年後の読者には、ニュアンスは伝わらないでしょう。
また、阿刀田ショートショートの世界では、知っている世代が限定されてしまう単語についても、極力排除されているような気がしました。
AKB48の「ポニーテールとシュシュ」という曲がありますが、「シュシュ」が何なのか分からずコッソリ娘に聞いたお父さんはたくさんいるんじゃないかと思います。

老若男女が無条件で楽しめる小説。そもそも、直木賞とはこういう作品のためにあるんだよなあ。
そんなことを感じました。

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09:20  |  阿刀田高  |  コメント(2)
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