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2011.07.03 (Sun)

有川浩 ラブコメ今昔

ラブコメ今昔ラブコメ今昔
(2008/07/01)
有川 浩

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突っ走り系広報自衛官の女子が鬼の上官に情報開示を迫るのは、「奥様のナレソメ」。双方一歩もひかない攻防戦の行方は?(『ラブコメ今昔』)。出張中新幹線の中で釣り上げた、超かわいい年下の彼は自衛官。遠距離も恋する二人にはトキメキの促進剤。けれど…(『軍事とオタクと彼』)。「広報官には女たらしが向いている」と言われつつも彼女のいない政屋一尉が、仕事先で出会ったいい感じの女子。だが現場はトラブル続きで…(『広報官、走る!』)。旦那がかっこいいのはいいことだ。旦那がモテるのもまあまあ赦せる。しかし今度ばかりは洒落にならない事態が(『青い衝撃』)。よりによって上官の愛娘と恋に落ちてしまった俺。彼女への思いは真剣なのに、最後の一歩が踏み出せない(『秘め事』)。「ラブコメ今昔」では攻めに回った元気自衛官、千尋ちゃんも自分の恋はいっこうにままならず…(『ダンディ・ライオン―またはラブコメ今昔イマドキ編』)。 (BOOKデータベースより)

自衛官をテーマにした短編集です。少々ベタな展開もありましたが、それでも面白いものは面白い。
ではでは、各短編について自分なりの感想をば。

『ラブコメ今昔』
今昔という単語の意味に、最後の最後で気づかされました。ええのー、ええのー!心がほんわかする短編です。自分も一度でいいから「お見合い」というものを経験してみたかった。「あとは若い者にまかせて」と言われたい。そして、「ご趣味は?」「漬物を少々」…漬物!いやー、いいですね。堅物の今村と、ほんわか天然な邦恵の相性は抜群だと思います。言葉のやり取りを聞いているだけで、癒されました。

『軍事とオタクと彼』
ヒロインの歌穂が感情をあらわにする(泣いたり怒ったり)シーンが多いです。けれど彼氏の森下とはほとんどケンカなし。森下の性格が温厚で、歌穂の怒りを受け止めて凪にしているような、そんな二人なのです。にしても、こんな出会い方もありなんですね。運命の人と出会えたのは、電車の中だった!…結婚式で言ったら、盛り上がるだろうなあ。

『広報官、走る!』
恋愛よりも、テレビ関係者はこんなにルーズで性格が悪いものなのかと、そちらに視点が向かってしまいました。セクハラも結構ありそう(憶測ですが)。そんな職場で頑張っている汐里ちゃんの苦労を察し、切なくなりました。短編の後半は、自衛官の使命について考えさせられます。「いちいち怖いなんて思っていたら自衛官なんか務まらない」…そうですよね。この短編集の中で、一番感動したのがこちらでした。自衛隊とはかくあるもの、そんなメッセージが伝わってくる短編です。
性悪なテレビ関係者、自衛隊の使命。それらのインパクトに押され、一応恋愛シーンもあるのですが、完全に負けています。

『青い衝撃』
紘司の目線で女性を好きになれる男が、この世にどれだけいるんだろうかと感じます。頭脳明晰、子煩悩、容姿端麗と非の打ち所が無いと思われた紘司ですが、制服の襟に何度も何度も手紙をしのばされていたことに全く気が付かなかったという超鈍感な一面が。いや、そんなもの欠点のうちに入らないよなー。紘司みたいな男性が近くにいたら、頑張って狙いにいきましょう。その時は、ぜひ「爪」をきれいにしていってください(少々ネタばれです)

『秘め事』
上司の娘と恋に落ち、その結末に至るまでの物語なんですが、他の短編より「ご都合的」な展開が多すぎなように感じました。宮崎君の命が軽すぎます。上司との決闘シーンもなんだか喜劇のようでした(ごめんなさい)。ラストも簡単に予想できてしまいます。私の中では一番微妙な短編だったのですが、救いはヒロイン有季の人間性に感銘できたことです。控えめな外見に隠された、一本の太い芯が見えました。うん、本当にいい女。

『ダンディ・ライオン―またはラブコメ今昔イマドキ編』
明るい女性とオクテな男性のラブストーリー。そして女性のほうが階級が上ときています。予想通り、最初は女性からガンガン攻めていきます。ドラマ、マンガではよくある展開だと思うのですが、私自身この展開は嫌いじゃないので楽しく読ませていただきました。千尋ちゃん、かわいいー。

こうして全ての短編をざっと振り返ってみると、なんとなく各短編で恋に落ちた二人というのは、似たもの同士ではなくて、むしろ正反対の性格同士なんではないかと感じます。凹凸を埋めあい補完しあえる関係、ということなのでしょうか。

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07:25  |  有川浩  |  コメント(2)

2011.05.25 (Wed)

有川浩 キケン

キケンキケン
(2010/01/21)
有川 浩

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成南電気工科大学機械制御研究部略称「機研」。彼らの巻き起こす、およそ人間の所行とは思えない数々の事件から、周りからは畏怖と慄きをもって、キケン=危険、と呼び恐れられていた。これは、その伝説的黄金時代を描いた物語である。 (BOOKデータベースより)

正直に書きますが、途中まではノベライズみたいな内容です。
文章に書いてあることが全て。想像力の働く余地がありません。また、登場人物たちは、分かりやすすぎるほど役割が決まっていて、ある意味全くムダがありません。だから余計に想像が膨らまない。「有川浩の小説だから」と楽しみに読み始めたのですが、何となく興ざめしてしまいました。

エンタメ性は抜群です。とても楽しいです。
ラーメンダレの作り方は興味深く読ませてもらいました。鶏がらの臭みを取るには血合いを取ることが必須。そしてスープは鶏がらでも実は豚のダシも必要なのですね。ふむ、勉強になりました。
にしても、まさか学校祭の出店で使われるラーメンのために、ここまで大学生たちが試行錯誤するだなんて!馬鹿馬鹿しいことに、とことん一生懸命になれるメンズたちの姿が眩しい。

そしてまた、そこそこの偏差値のはずの大学生が、銃もどきの物体を簡単に作ってしまえることにも驚きました。
部室に置いてあった備品を使い、ちょちょいと完成させてしまったのです。ええっ、そんなもんなの!?
理系ではない自分には分からない世界です。

でも、やっぱりノベライズの域を超えないなあと思いながら読んでいたのですが…
ごめんなさい。すみません。
やはりこれは有川浩の小説でした。ラストまで数ページというところから「小説」が始まりました。
登場人物の一人である元山君が、妻を連れて母校の学祭に向かうシーンです。
元山君は、こう考えます。

学祭に行ってももう自分は客にしかなれない。
あの祭の当事者にはなれない。
もうあの場所は俺たちの場所じゃないんだ。

この文章を読んで、私は泣きそうになりました。ものすごく共感できます。そうなんです、楽しかった大学生活はすでに過去の記憶の中にしか存在しないのです。大学に足を運んでも、そこは自分たちがいた大学とは何かが違うのです。
違うシチュエーションでも、同じ感情を抱くときがあります。
高校の卒業式の後、がらんとした教室の中に佇んでいるときだったり。
卒業した小学校の運動会を通りすがりに眺めてみたら、なんだか迫力に欠けているように感じたり。
そう、その瞬間が楽しかったかどうか気づくのは、それが終わってからなのです。
そうだよね、そうなんだよね。
このメッセージを伝えるためにノベライズ部分があったとするのなら納得です。
登場人物たちは、大学を卒業した後には普通の生活を送っているようです。あの上野君も、結婚してからは落ち着いた性格になったようですし。そういう設定を作って現実世界を強調させ、過去の大学時代の楽しさをピカピカに映えさせているんだろうなあ。やはり有川浩は素晴らしい作家です。

ちなみに、ロボット相撲大会の決勝戦の相手「チーム・メカ次元」。ゴールドライター号を操るのですが、ロボットの名前の由来を司会者から訊かれ「まあ私たちの年代ですとねえ」とメンバーのおっさんたちは笑うのですが、私は分かりませんでした。調べてみたら、80年代に流行った「ゴールドライタン」というロボットアニメから来ているようです。個人的には、次元ときたら大介を連想してしまいます。まあ、これはどうでもいいや…



キケン - 道楽猫の図書室

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08:07  |  有川浩  |  コメント(6)
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