2017年03月 / 10月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫11月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告

2011.03.02 (Wed)

近藤文恵 サクリファイス

サクリファイス (新潮文庫)サクリファイス (新潮文庫)
(2010/01/28)
近藤 史恵

商品詳細を見る


ただ、あの人を勝たせるために走る。それが、僕のすべてだ。
勝つことを義務づけられた〈エース〉と、それをサポートする〈アシスト〉が、冷酷に分担された世界、自転車ロードレース。初めて抜擢された海外遠征で、僕は思いも寄らない悲劇に遭遇する。それは、単なる事故のはずだった――。二転三転する〈真相〉、リフレインの度に重きを増すテーマ、押し寄せる感動! 青春ミステリの逸品。 (内容紹介より)

サイクルロードレース。野球やサッカーと比べるとあまり馴染みの無いスポーツを題材にしている小説です。ルールを全く知らなかったけれど、大丈夫でした。小説内にて、ストーリーのリズムを崩すことなくルールが説明されています。ただの説明文にならず、うまい書き方をしているなという印象です。
それにしても、このストーリーを作るためにサイクルロードレースのルールが存在するのではないかと思ってしまうくらいの、展開とルールのマッチぶりに驚かされます。他のスポーツでは成立しえない、サクリファイス=犠牲の精神。

日本人が好みそうな小説だなという印象です。
まず、サイクルロードレースのルールについて。にわか知識で恐縮ですけど、このスポーツは「チームプレー」で勝利をつかむものです。レースは同じコースを何周と走る長丁場なわけで、勝つためには、体力配分や他チームとの駆け引きなどの戦略が必要になってきます。そこで「アシスト」と呼ばれる、己の勝利を捨ててチームに貢献する役目の選手がいるわけです。決して日の目を見ることがない選手です。

そして、悪者にはきっちり制裁が加えられるという勧善懲悪なストーリーでもあります。

そして少々残念だというポイントがこちら。
レース中の風景について、ほとんど描写が無い。もともと、スピードを求めるストーリーには、過度の描写は不要だと思っています。描写って時間を止めてしまいますから。でも、あまりに少ないのも悲しいです。せっかく伊豆や富士といった魅力的な場所を走っているのに残念。主人公チカも、観客席を細かく見る余裕があるみたいだから、風景も見ていないはずはないと思います。まあ、別にいいんですけど。

最後に、ちょっとだけ含まれる「恋愛」について思ったこと。
主人公チカは、中学生の頃から「香乃」という女の子が好きでした。二人は恋人同士だったけれど色々あって、香乃は違う男性と結婚してしまいます。チカは、香乃のことが大好きだったけれど、別れることも運命だったと割り切り失恋を乗り越えます。にしても、香乃と結ばれなくて良かったねと思ってしまうのは自分だけ?セックスの相性が良くなかったのが運の尽きだったんだろうか。
まあ、そこって、けっこう大事だよな…
きっとチカにはもっといい女性が現れるのではないかなと思います。
話がずれました。いや、ロードレース風に、脱輪しましたと言おうか。

この小説を一言で表すと、タイトルが示す「犠牲」の意味がとても重いのに、同時に、物語に入り込みやすい軽さも持ち合わせた面白い作品です…といった感じかなー。
スポンサーサイト

テーマ : 最近読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

09:00  |  近藤文恵  |  コメント(0)

2011.01.05 (Wed)

小池真理子 美神

美神(ミューズ)美神(ミューズ)
(1997/10)
小池 真理子

商品詳細を見る


阿佐子は、背中に薄いピンク色の羽を隠し持っているような子供だった。少女から女へ。儚いほど完璧な美、存在自体が放つ官能の気配、そのすべてが周りの人々を狂わせる。男たちは、蜂蜜色にきらめく肌に惑い、阿佐子の表現する愛情はなんであれ、彼らの猜疑心を刺激した。あまりにも美しき破滅の愛の物語。(BOOKSより)

この前読んだ、阿久悠さんの著書「もどりの春」にも、美しすぎる女性が出てきました。
「もどりの春」の女性は、美しさで幸せを掴むことができました。
対してこちらの「美神」は、美しさで自身を破滅させた女性の物語です。
どちらかというと、「美神」のほうが現実に近いストーリーなのではないかと感じます。

そもそも美の神ミューズとは、本当に恐れ多い呼び方ですね。
小説の主人公・阿佐子がどれだけ美しいのか、実際のお姿を拝見してみたい気もします。
にしても、「神」という呼称は、的を得ているなと感じるのです。

本当に美しすぎる女性(男性もそうですけど)は、同性からのやっかみを買います。
そして、異性からは、本気の恋愛の対象としては見てもらえません。
ウワサ話や妄想の対象として、お茶の間に華やかな話題を提供する存在です。
自分には釣り合わない、付き合うなんて考えられない、目の保養で十分・・・そんな人に会ったことはありませんか。

昔ジャイも、ものすごいイケメンから告白され、その人のことを大して知らないのに付き合ったことがあります。
付き合い始めた時はウキウキでしたけど、その浮かれた気持ちは、どんどん沈んでいくんですよね。
なんだか緊張してしまって、安心できないのです。
そういえば、藤原紀香が結婚を決めた理由だって、「女優ではなく女性として見てくれたから」だったはずです。
容姿が良すぎるということは、贅沢な悩みになりうる問題を秘めているのです。

にしても、美しさというのは持って生まれたものであるから、運命ではなくて宿命なのでしょう。
本人には何の責任も無いのに、美しすぎるという理由で普通の恋愛ができないというのは、残酷です。
ちなみに、この小説に、官能的なシーンはほとんど出てきません。最終章にちょっと登場するくらいです。
それなのに、小説全体に色気が漂っています。
阿佐子が故意に出している色気ではありません。知らないうちに出してしまっているのです。
美しいってコトバは、見た目だけのことを言うんじゃないんだろうなあ。
雰囲気、オーラ、そんなオプション全てを総括して「美しい」と言うのでしょう。

最後まで救われなかった阿佐子が哀れでした。
それでも何となく自分は思うのです。
それでも、美人すぎる人生を体験してみたいなあ、と。一日でいいから、体験してみたいですね。
こんなノーテンキなワタクシですが、2011年もよろしくお願いします。(なんちゅーシメだ

テーマ : 最近読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

09:30  |  小池真理子  |  トラックバック(0)  |  コメント(6)
 | HOME | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。