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2011.06.30 (Thu)

山崎ナオコーラ この世は二人組ではできあがらない

この世は二人組ではできあがらないこの世は二人組ではできあがらない
(2010/02/24)
山崎 ナオコーラ

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なぜ全員が男女二人組でなくてはならないのか。川を二つ越えながら、日々を営んでいた。埼玉とたまプラーザ。この小説の舞台は狭いアパートだ。社会とつながりに切り込む“反恋愛小説”。 (BOOKデータベースより)

まず、表紙の雲煙に驚かされました。そして本の帯には「社会とつながりに切り込む反恋愛小説」。な、なんじゃ?ものすごく興味を引かれ、読んでみることにしました。
山崎ナオコーラさんの小説は初読でしたが、この小説だけの感想を述べると「軸が無い」。悪く言ってしまえば「ふらふら」なのです。他の小説もこんな感じなんだろうか。彼女の文体がふらふらなのか、描写した登場人物の思考が定まっていなくてふらふらしているように感じるのか。どちらでしょう。
…というのも、この小説に登場するのが所謂「ロスジェネ世代」。
正確に言うと「ロストジェネレーション(失われた世代)」。大学卒業年に就職氷河期を迎えていた、現在の20代半ばから30代半ばくらいの世代を指します。この時代は、景気も悪かったので、とにかく就職難でした。小さい企業でも就職できれば御の字、非正規雇用も止むなしといった時代だったわけです。
それで、一般的にロスジェネ世代の特徴として、傷つくのが怖かったり、決断力が無かったりといったネガティブな一面がクローズアップされているわけです。

確かに、主人公の栞も、彼氏の紙川さんも、世間に対する愚痴ばかり。
栞は小説家を目指しているけれど、なぜ小説を書いているのか、強い動機が伝わってきません。何のために、何を書きたいの?小説が書けずに悩んでいるシーンが何度も登場します。かと言って栞は何も考えていない子ではありません。世間で決まりきっている制度(戸籍、結婚、出産など)について疑問を持ち、自分なりの考え方を持っているようです。それは、もともとそういう考え方であるのか、それともロスジェネ世代だからこそ持ち合わせた考え方だったのか。
世間に対する猜疑心はあれど、どこかやはり「ふらふら」しているのです。
この猜疑心を進化させ、自分の思考として確固たるものを築ければ「軸」になるのでしょうけど、栞の中では、そこまでには到達していないように感じました。
軸がぶれていると、簡単に他人の意見に流されてしまうのです。「本が好き」「小説を書きたい」という気持ちを強く持っていたらしい栞ですが、私から見たら、本や小説よりも紙川さんのことばかり考えているなあという印象でした。
そして、紙川さんも「ふらふら」。栞からアパート代を借りてまで公務員試験を受験し、合格したのに「起業したい」とか「中途採用を募集している塾に面接行ったんだけど受かるかも」と二転三転、全くやりたいことが分からない、夢と屁理屈ばかり語る男です。(おっと、毒舌が出てしまった。基本的に、私、ふらふらしている男には厳しいのです)

栞や紙川さんと同じロスジェネ世代の私ですが、なぜだか全く共感ができません。
ロスジェネ世代にも二つのタイプがあるんだと思います。
就職できたグループと、できなかったグループ。前述したロスジェネ世代の特徴が該当するのは後者のほうだと思います。逆に前者、就職できたグループはあらゆる事に対し意欲的な人間が多いと思います。激戦を乗り越えて勝ち取った人生ですから当然ですが。

と、何となく自分がロスジェネ世代であることで、思うところが少しずれてしまいましたが、この小説の一番大きなテーマは、タイトルにあるとおりのものです。男と女の二人組、夫婦という形をとることが今の社会では当然になっています。結婚したら戸籍を新しく作り、女は子供を生んで一人前。昔からある決まりきった制度、そして固定観念について再考するキッカケを与えてくれた小説でした。イマイチ共感できなかった自分が言うのもなんですが… うん、まあ、視点は斬新だったと思います。


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テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

08:05  |  山崎ナオコーラ  |  コメント(2)
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