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2011.08.19 (Fri)

戌井昭人 まずいスープ


まずいスープまずいスープ
(2009/10/01)
戌井 昭人

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人間のバカさとダメさが凝縮!本当にまずいものって、世の中にそうそうない。でも、これはかなりまずいかもしれない。サウナへ行くと言ったきり、父が行方不明になった…。パフォーマンス集団「鉄割アルバトロスケット」の鬼才が放つ新潮流小説。(BOOKデータベースより)

完璧に、タイトルにつられて手に取った本です。
これまでに読んだことのない、新種のカテゴリに属する作家かも。少しクセがある文体だけど、読みづらいとは感じません。ところどころに含まれる、わざとらしくない「笑い」のスパイスが特徴的。思わず吹き出してしまいそうになる面白さなのですが、面白いだけの小説ではなく、心に響いてくる何かがある。こんな小説は、ありそうでないと思います。
「まずいスープ」、「どんぶり」、「鮒のためいき」と三つの短編で構成されていますが、どれも面白いです。他の著書も読んでみたくなります。

とにかく、主人公の周りでは、波乱万丈かつ奇想天外な出来事が次々と起こります。
父が不味いスープを作って行方不明になったり、アメリカに腹違いの妹がいることが分かったり、父が内緒で育てていた大麻を売りに行ったり。それなのに、主人公の一人称で語られる小説は、どこか平凡を感じさせる穏やかな語り口。そのギャップがたまらなく面白いのです。

自由人である父、アル中の母、高校停学中の従妹マー、そして大学中退した主人公(男)。不仲であってもおかしくない、割と個性的なカテゴリに入る家族構成でありますが、妙にバランスが取れています。母は干渉しない性格であり、そこに父も居心地のよさを感じています。母だって、父を愛しているからこその非干渉を貫いているわけです。
愛に王道は無し、理想の家族像にも王道は無し。

勤勉な父、良妻賢母な妻、優秀な子供、全く家庭内にて問題は起きていない、と。仮にそんな完璧な条件の家族がいたとしても、裏に何を秘めているかは分からないわけで、何か起こったときには意外と脆かったりもします。
寒流に育つサケと暖流に育つマグロにそれぞれ快適と感じる水温があるのと同じく、個々人で快適と感じる家族のスタイルは異なっているんだと思います。
って、魚と一緒にすんなと言われるかな?
他人がなんと言おうと、当事者が心地よいと感じるのであれば、太い絆で繋がったかけがえのない家族なんですね。

そしてこの小説を読んで何となく感じたことですが、意外と「おいしかった」ものを思い出すことって難しいです。だから、本当に好きなものって、何度も何度もリピートして食べたくなるんでしょう。記憶に残らないから。
本当に記憶に残るのは、むしろ「まずい」ものなんだろうなあ。
けれど、小説にも書いてありましたが、「まずい」ものに出会うことってあまりないのですよね…
外食で「まずい」と感じることはほとんどありません。大概は、自炊して失敗したときです。
うん、まずいものとは、そんなものだ。

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07:29  |  戌井昭人  |  コメント(3)
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