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2012.03.25 (Sun)

沼田まほかる 猫鳴り

猫鳴り猫鳴り
(2007/08)
沼田 まほかる

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宿した命を喪った夫婦。思春期の闇にとらわれた少年。愛猫の最期を見守る老人。それぞれのままならぬ人生の途に「奇跡」は訪れた。濃密な文体で、人間の心の襞に分け入ってゆく傑作長編。一匹の猫の存在が物語を貫く(内容紹介から)

沼田まほかる氏の小説については前からとても気になっていましたが、ようやく読むことができました。ながながと小説から遠ざかっていた自分が言うのも説得力がないと感じますが、面白いです。
筆力のある作家だと感じます。
たま~に感じるのですが、筆力のある作家ってその筆力の高さが仇となり、一人走りして読者を置き去りにすることもあるような気がしているのですが、それもない(個人的に感じているだけだけど。そもそもそれは筆力があるっていえるのか?)。

簡単に説明すると物語の核になるのは「モン」という猫です。小説は三部構成になっており、第一部は子猫のモンがとある夫婦のもとに飼われることになる経緯、第二部はとある少年が心の中に抱えている闇、そして第三部は老いたモンを飼い主が看取る場面について書かれています。
各部がそれぞれのカラーを持っていて飽きさせない作品です。中でも秀逸だと感じたのは第三部。20歳を超えたモンの身体能力が次第に弱っていく様子は、猫を飼っていない自分でも情景がリアルにイメージできるほど、細かな描写で書かれていました。これは、猫を飼ったことのある人(更に限定するなら老猫を看取った経験のある人)が読んだら、涙が止まらないのではないでしょうか…

先ほど書いたとおり、第三部を簡単に説明するなら「老いたモンを飼い主が看取る」という内容です。
それだけといえばそれだけの内容ですが、これを文章で表現する難しさは半端無いものではないかと感じます。なぜなら、モンは猫であるからです。意思疎通ができる人間ではないからです。
もしこれが人間同士の物語であったとすれば、「会話」という確かなものを通して心の交流が書かれるわけですから、読み手側も感情移入が容易にできるのではないかと感じます。
筆力の高い作家による表現技法を「うまいな」と思いながら、それでまた、避けられない「死」というものへの虚無感を味わいながら読む。かなり深い海の底まで潜っていくような感覚になるんだけれど、なぜかそこまで暗い気持ちにはならない。ブラックな読後感とはならないのも良いのです。

モンは人間の言葉を喋りませんが、確実に人間と会話をしている。文章として書かれていないのだけど、読んでいるとモンの心情を感じとることができるのです。そうですね、これは第一部と第二部についても共通することです。

読書したぞ~という達成感が味わえる一冊です。良書、良書。
…ちなみに個人的に気になったので調べてみましたが、猫の20歳というのは、人間に換算すると100歳を超えるらしいです。
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09:37  |  沼田まほかる  |  コメント(2)
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