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2011.02.15 (Tue)

日記 ショートショート劇場。

 仕事を終えた理央の携帯電話に、一件の留守電が入っていた。
 再生ボタンを押して、電話を耳に当てる。流れてきたのは、聞き覚えのある男の声だった。 
 理央は軽く胸がざわめいた。

「今晩、夜景を見に行かないか。いつものところで待ってる」

 理央はため息をついた。ダイスケから呼び出されるのは、これで何度目だろう。
 私の気持ちも知らないで、と理央は戸惑いながら考えた。これでは、少し「都合のいい女」になってはいないか。もやもやした気持ちになりながらも、理央はピンクのフィアットのエンジンをかけた。

 小さな公園の脇に、車を停めた。すぐ隣には薄茶色の巨大な建物が見える。建物の壁面には大きなデジタル時計が取り付けられており、それは22時15分を示していた。

「よう。理央、悪いな」
「いいの。早く乗って」

 二人は高台の公園に到着した。待ち合わせをした公園から、車で15分ほどの軽いドライブだった。
 駐車場の位置から、すでに都会の美しい夜景が見える。ダイスケは、少年のように無邪気な顔になった。
「理央、ここから少し歩けば展望台があるんだ。そこまで行こうぜ」
 ダイスケはそう言い残して一人で展望台へ向かっていった。まったく、いつまでたっても男はコドモなんだから。理央は心の中でつぶやいた。

 展望台からの夜景は、駐車場で見たそれとは比べ物にならなかった。
 静寂の中、ゆらめく無数の光の粒が、理央とダイスケを包み込んだ。

「きれいね…」
 理央は、ダイスケの背中に手を滑らせた。
「なあ、理央」
「なに?」
「オレは、今まで理央を振り回してきたよな。甘えてばかりでさ。自分でも、ダメな男だと思ってるよ」
「今さら、何よ」
理央はクスリと笑った。

「オレ…」
 理央は、ダイスケの手首にそっと触れた。

「脈拍がちょっと速くなってるね。戻るよ」
「…オレ、もう理央に迷惑かけないようにする。理央だって困るし、他の患者だって外出したいのに、オレだけこんな特別扱いでさ」
「わかってるんだったら最初からワガママ言わないでよね」

 二人は帰路についた。ピンクのフィアットは、理央とダイスケが待ち合わせしていた公園の横を通り過ぎ、隣にあった薄茶色の巨大な建物の前で停まった。建物の時計は23時30分を示していた。
 薄茶色の巨大な建物には「焼銅鑼総合病院」の看板がかかっていた。

 四日前、この病院に理央の祖父が入院してきた。祖父の本名は大黒助蔵(ダイコクスケゾウ)と言い、患者の間では、本名を省略した「ダイスケ」の愛称で呼ばれている。
 祖父の病気は大したことなく、二週間ほど入院すればよかったのだが、アクティブな性格の祖父は病院で寝たきりのつまらない生活に耐えられず欲求不満になり、孫に「なんとかしてくれ」とすがりついたのだった。孫の理央は、この病院に勤務する内科医だ。患者を夜中に連れ出すなど常識的に不可能であるが、理央の婚約者がこの病院理事の息子であったことが幸いし、特別に許可が出ていたのだった。



という物語を、ごはんを食べているときに何となく思いついたので、ここに記しておきます。
自分で創作してみると、「水嶋ヒロはやっぱりスゴイ」ということが分かりました。 
09:37  |  日記  |  コメント(6)

Comment

だめんず好きのホワイトカラーOLの話かと思いました^^;
ダイスケさんはきっと理央ちゃんに夜景を見せたかったのでしょう☆
読書系女子 |  2011.02.15(火) 10:10 | URL |  【編集】

Re: タイトルなし

読書系女子さん

コメントありがとうございます。
ごはんを食べているときに「叙述トリック」を使った文章をなにか書いてみたいなあと思って、出てきたのがこんなストーリーでした。いやー、創作ってむずかしいですね。
ジャイ |  2011.02.15(火) 12:44 | URL |  【編集】

いえいえ、なかなかのものです。
ハッピーエンディングのショートショートもいいものですね。

> 自分で創作してみると、「水嶋ヒロはやっぱりスゴイ」ということが分かりました。 

上記の〆には、ふき出してしまいました。
キヨハラ |  2011.02.15(火) 20:57 | URL |  【編集】

むむむ
ちょっとドキドキしちゃったじゃないすか(笑)。
「叙述トリック」かぁ。
私も一発何かかましてみるかな(←ムリ)
道楽猫 |  2011.02.15(火) 22:03 | URL |  【編集】

Re: タイトルなし

キヨハラさん

コメントありがとうございます。
大御所先生の書いたショートショートに比べると、自分の駄作ショートショートは、「一流パティシエの作ったケーキ」と「う○い棒」ほどの落差があると思います。…これでは「う○い棒」に失礼ですね。

何かの本に書いていましたが、「自分で小説を書いてみると、小説を読むことが、いっそう楽しめるようになる」そうです。読んでいるときの視点が変わるそうです。
ジャイ |  2011.02.16(水) 09:11 | URL |  【編集】

Re: タイトルなし

道楽猫さん

コメントありがとうございます。
騙されてくれたのですか!?(なんだか日本語おかしいですね)
叙述トリックがうまくハマった時は、本当に爽快だと思います。さりげなく伏線を用意してみたりして。
古いネタですけど、友達に「10回クイズ」を出題して、引っかかってくれた時と同じくらい嬉しいと思いますよ。。
ジャイ |  2011.02.16(水) 09:21 | URL |  【編集】

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