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2011.03.08 (Tue)

夏目漱石 吾輩は猫である

吾輩は猫である (新潮文庫)吾輩は猫である (新潮文庫)
(2003/06)
夏目 漱石

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漱石の処女作であると共に、一躍その名を高からしめた代表作でもある。苦沙弥先生に飼われる一匹の猫にたくして展開される痛烈な社会批判は、今日なお読者の心に爽快な共感を呼ぶ。(山本健吉)(内容紹介より)

日本人であれば誰でも、タイトルと冒頭部分だけは知っている名作です。
わたくし、趣味は読書と豪語しているくせに、実は読んだことがありませんでした。
うん、すごい。すごいという形容詞では何がどうなってすごいのか伝わらないかと思うんですが、すごいんです。
この小説が漱石のデビュー作と知り、鳥肌が立ちました。夏目漱石は、まさに鋭才と呼ぶにふさわしい人物です。日本の宝です。ちなみに、これまで私は、日本の宝は水嶋ヒロだと思っていました。

あらすじだけだと、ひどく単純な小説です。細い骨といってもいいかもしれない。それが漱石の手にかかり、重厚なデコレーションが施された小説に仕上がっています。例えば、猫がカマキリやセミを獲ろうとするシーンが、何ページにもわたって書かれているのです。文章にしたら、五行ほどで終わってしまうべき部分だろうに。それも、ただ引き伸ばすだけじゃなく、一つの物語として楽しめてしまう内容に書き上げているところがアッパレです。
そういえば、ナントカという作家(ど忘れしました)が、「家から近所のタバコ屋に行くというストーリーだけで短編小説が書ける(セリフもうろ覚え)」と言ったと記憶しています。ものすごく短い間の出来事であっても、腕のいい作家の手にかかれば、描写を膨らませて面白い小説に仕上げることができるのです。もちろん、描写の能力が優れている作家でないと、途端につまらない小説になってしまいますけど。

苦沙弥先生と来客たちが繰り広げる会話にも、同じことが言えます。
話の内容はひどくクダラナイのに、彼らの会話には薀蓄がこれでもかという程に詰め込まれ、独特のリズムと雰囲気をかもし出しています。それがもう面白すぎて、読んでいるうちにくせになり、アリ地獄のようにハマってしまうのです。彼らは、バカではないけどアホです。
真面目に話し合いをしているのに、どうしてこんなに面白いのか。
前も書いたと思いますが、「ユーモア」を小説の中で追求するのは非常に難しいことだと思います。滑った瞬間にレベルの低い小説というレッテルを貼られてしまいますし、また、万人が理解できるユーモアでないと読者に疎外感を与えてしまいよろしくない。この「吾輩は~」については、もう言うまでもありません。誰が読んでも面白い。
薀蓄の引用が下手な小説だと、説明文を延々と読まされるようで興ざめしたりするものですが、「吾輩は~」の場合は、薀蓄が小説に不可欠な要素として違和感無く組み込まれています。
薀蓄および無駄話なくして吾猫なし。

ちょっと脇道にそれます。。私は、森見登美彦の小説によく出てくる「おもちろい」の表現が大好きだったのですが、これも元ネタは夏目漱石だったんですね。どうでもいいけど、森見さんの文体は夏目漱石に似ています。影響を受けた作家というのもうなずけます。にしても、森見さんのすごいところは漱石風のユーモラスな文章を自分の文体として書けてしまうところだと思います。誰にでも模倣できるものではありませんよ。

「吾輩は~」の面白いところは、そのユーモアな会話自体にあるのではなく、その会話に紛らせた「社会・人間への風刺・批判」にあります。公衆浴場のシーンで、主人公の猫は人間のことを「化物」と揶揄してます。もともと裸で生まれてきたのに、なぜ人間は服を着るのか。なぜお風呂に入るときに人間は服を脱ぐのか。猫にしてみれば確かに疑問です(最近は猫もかわいい服を着てたりしますけど)。服を着た人間は、裸を「獣」と看做します。もう、裸で外を歩けない。人間は平等という状態を嫌うために服を着るのです。いやあ、いいですね。おもちろいです。

確かに純文学チックで解釈しづらい部分もあるのですが、それを補って余りあるユーモアの嵐。深いところまで読めればもちろん収穫アリですし、もし難しくて内容が分からなかったという場合でも、ユーモアを体感して「おもしろかった」という感想が持てたとしたら、それはそれでいいんじゃないかなーなんて思います。

テーマ : オススメの本 - ジャンル : 本・雑誌

09:00  |  夏目漱石  |  コメント(4)

Comment

なんと!おもしろそうではないですか!!
実は私、読んだことありません。
夏目漱石に限らず、日本文学ってほとんど全く読んでいないのです…

森見っぽくもあるかも知れないなら、是非にも手にとってみたいです。

>ちなみに、これまで私は、日本の宝は水嶋ヒロだと思っていました。

吹き出しましたw
読書系女子 |  2011.03.09(水) 13:05 | URL |  【編集】

こんな内容だったとは!
実は私も我輩は猫である読んだことなかったので、そろそろ手をだそうと思っていたところでした!(タイムリー♪)

おもちろいの表現いいですね。森見さんの本の中でも気になっていました。水木しげる先生の作品にもよく出てきます。漱石が原点だったとは知りませんでした!
図書館男子 |  2011.03.09(水) 17:51 | URL |  【編集】

Re: タイトルなし

読書系女子さん

コメントありがとうございます。
自分も、一冊読みきった夏目漱石は、これが初体験だったのです。
「こころ」の抜粋バージョンは高校の教科書に載っていましたが。
「吾輩~」は、「こころ」とは全く違う面白さがありました。
漱石自身も猫を飼っていたことがあるそうで、爪の向きやら仕草やら、とても生き生きとした猫が描写されています。猫好きな方にもおすすめです。。
ジャイ |  2011.03.09(水) 18:58 | URL |  【編集】

Re: タイトルなし

図書館男子さん

コメント、ありがとうございます。
なんてタイムリーな。私からもおすすめします。地雷のように爆笑ポイントが点在していて、読んでるうちに何度もぶちあたり、爆笑してしまう小説でした。
にしても、おもちろいは水木しげるも使っていたのですか。知りませんでした!
水木しげる、ゲゲゲの鬼太郎原作を何冊か読んだことあるのですが、アニメと違ってかなりエロくてシュールだったなあという記憶しか残っていません。
ジャイ |  2011.03.09(水) 19:11 | URL |  【編集】

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