FC2ブログ
2018年11月 / 10月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫12月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告

2011.03.12 (Sat)

パトリシア・ハイスミス 11の物語

11の物語 (ハヤカワ・ミステリ文庫)11の物語 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(2005/12)
パトリシア ハイスミス

商品詳細を見る


たまたま台所にあったボウルに入っていた食用かたつむりを目にしたのがきっかけだった。彼らの優雅かつなまめかしい振る舞いに魅せられたノッパート氏は、書斎でかたつむり飼育に励む。妻や友人たちの不評をよそに、かたつむりたちは次々と産卵し、その数を増やしてゆくが…中年男の風変わりな趣味を描いた「かたつむり観察者」をはじめ、著者のデビュー作である「ヒロイン」など、忘れることを許されぬ物語11篇を収録。(BOOKデータベースより)

寝る前にベッドで小説を読むのは至高のひと時です。でも、読む小説は選んだほうがいい。
「11の物語」を読んでしまうと、いたたまれない気持ちのまま眠りに付くことになるでしょう。
ハッピーエンドの物語は皆無です。人間って、怖い。
最初はミステリーかと思っていた「11の物語」。確かにその要素を含んではいますが、ミステリーの一言でカテゴライズしてしまうのはもったいないと思います。

パトリシア・ハイスミスという作家は、「普通じゃない」精神状態の人間を描くのがうまいです。
「かたつむり」を題材にしている2作品以外は、最後まで読むとぞっとする恐ろしさを得られますが、どれも極めて日常的な生活の中で起こっていることです。平穏と恐怖は紙一重、実はあまり遠くない位置にあるんじゃないかと思わされます。そのサインを受け取ると、小説を読んだときと同じくらい、再びぞっとする気分にさせられます。

そして短編の構成の仕方がうまいです。「モビールに艦隊が入港したとき」の冒頭部分がこちら。
(引用)ジェラルディーンはクロロフォルムのビンを手にして、裏口のベランダで眠りこけている男を見つめた。深く吸い込んでは短く吐き出す息が、口ひげの中をヒューヒューと音を立てながら通り抜ける。こうした息遣いは彼が真昼まで目を覚まさないときの癖だ。…今が絶好のチャンスだわ。
ヒョウ(意味不明な叫び)!!いきなり、そう来たか。全く無駄が無く、すんなりストーリーに入っていけます。次に次にと読みたくなる気持ちにさせられます。
ハイスミスの書き方には無駄な贅肉がありません。だからテンポよく読み進められ、サクサク物語が進み、気づいたら恐怖の穴に落とされていた…という感じです。

また、「かたつむり」を始め、スッポンや猫など多くの動物たちが出てくるのも特徴的ですが、どの動物の描写も「鋭い」。猫はまだしも、かたつむりやスッポンといったマイナーな動物たちの描写をするというのは難易度の高い行為でしょう。この点でも、ハイスミスの描写はやっぱり無駄が無く、うまい。
(引用)彼らは尾で立ち上がるような格好をして、フルート吹きに魅せられた二匹の蛇のように、向き合ったまましきりに体をゆらゆらさせていた。しばらくすると彼らは顔を近づけてうっとりしたように官能的なキスをはじめた。
彼らとはカタツムリを指しています。描写にもいろいろありますが、カタツムリを説明するのに「てらてらした粘膜が…」とか「鮮やかな美しい渦巻きが…」なんて描写は不要だと思います。だって言われなくたって分かるもん。

短編でこんなに圧倒的な「筆力」を見せつけられる作家も珍しいです。まあ、訳書ですから本物を読まないことには正確な書評もできないのですけど。次は長編を読んでみる予定です♪

テーマ : 最近読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

08:33  |  パトリシア・ハイスミス  |  コメント(2)

Comment

確かに寝る前って至福の時ですし、読書の内容って重要ですよね。
短編を一つ二つ読んで安らかな眠りに就ければ、言うことなしです。ですけど、この短編集は、そういう用途には使っちゃいけないわけですね。

基本的にハッピーエンドを読みたいほうなんですが、この記事を拝見すると、読みたくなっちゃいます。

ところで、そちらではご無事でいらっしゃいますか。今も青森に強い揺れが来ると地震速報が入っています。都道府県として隣のジャイさんのところは、大丈夫でしょうか。
キヨハラ |  2011.03.12(土) 22:31 | URL |  【編集】

Re: タイトルなし

キヨハラさん

コメントありがとうございます。しっかり生きています。
地震ですが、北海道は場所によって全く状況が違うと思われます。被害の大きいのは太平洋沿岸で、私の住んでいるところは北海道のやや北、内陸部に位置してます。全然揺れませんでした。。地震当時は昼寝していて、妹からの電話で地震を知ったくらいです。

ハイスミスの作品に出てくる登場人物は、みな「普通の人」です。ファンタジーな内容で構成されているのはカタツムリの出てくる二編くらいでしょうか。怖さを体験したくて、ブラックな結末なのに読みたくて読みたくてたまらなくなってしまいます。
普通の生活の中に潜む怖さを体験すると、若干ですが不安になったりもします。ああー小説に連れていかれたなあ、という感想です。
ジャイ |  2011.03.13(日) 16:19 | URL |  【編集】

コメントを投稿する

Url
Comment
Pass  編集・削除するのに必要
Secret  管理者だけにコメントを表示  (非公開コメント投稿可能)
 

▲PageTop

 | HOME | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。