FC2ブログ
2018年11月 / 10月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫12月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告

2011.05.25 (Wed)

有川浩 キケン

キケンキケン
(2010/01/21)
有川 浩

商品詳細を見る


成南電気工科大学機械制御研究部略称「機研」。彼らの巻き起こす、およそ人間の所行とは思えない数々の事件から、周りからは畏怖と慄きをもって、キケン=危険、と呼び恐れられていた。これは、その伝説的黄金時代を描いた物語である。 (BOOKデータベースより)

正直に書きますが、途中まではノベライズみたいな内容です。
文章に書いてあることが全て。想像力の働く余地がありません。また、登場人物たちは、分かりやすすぎるほど役割が決まっていて、ある意味全くムダがありません。だから余計に想像が膨らまない。「有川浩の小説だから」と楽しみに読み始めたのですが、何となく興ざめしてしまいました。

エンタメ性は抜群です。とても楽しいです。
ラーメンダレの作り方は興味深く読ませてもらいました。鶏がらの臭みを取るには血合いを取ることが必須。そしてスープは鶏がらでも実は豚のダシも必要なのですね。ふむ、勉強になりました。
にしても、まさか学校祭の出店で使われるラーメンのために、ここまで大学生たちが試行錯誤するだなんて!馬鹿馬鹿しいことに、とことん一生懸命になれるメンズたちの姿が眩しい。

そしてまた、そこそこの偏差値のはずの大学生が、銃もどきの物体を簡単に作ってしまえることにも驚きました。
部室に置いてあった備品を使い、ちょちょいと完成させてしまったのです。ええっ、そんなもんなの!?
理系ではない自分には分からない世界です。

でも、やっぱりノベライズの域を超えないなあと思いながら読んでいたのですが…
ごめんなさい。すみません。
やはりこれは有川浩の小説でした。ラストまで数ページというところから「小説」が始まりました。
登場人物の一人である元山君が、妻を連れて母校の学祭に向かうシーンです。
元山君は、こう考えます。

学祭に行ってももう自分は客にしかなれない。
あの祭の当事者にはなれない。
もうあの場所は俺たちの場所じゃないんだ。

この文章を読んで、私は泣きそうになりました。ものすごく共感できます。そうなんです、楽しかった大学生活はすでに過去の記憶の中にしか存在しないのです。大学に足を運んでも、そこは自分たちがいた大学とは何かが違うのです。
違うシチュエーションでも、同じ感情を抱くときがあります。
高校の卒業式の後、がらんとした教室の中に佇んでいるときだったり。
卒業した小学校の運動会を通りすがりに眺めてみたら、なんだか迫力に欠けているように感じたり。
そう、その瞬間が楽しかったかどうか気づくのは、それが終わってからなのです。
そうだよね、そうなんだよね。
このメッセージを伝えるためにノベライズ部分があったとするのなら納得です。
登場人物たちは、大学を卒業した後には普通の生活を送っているようです。あの上野君も、結婚してからは落ち着いた性格になったようですし。そういう設定を作って現実世界を強調させ、過去の大学時代の楽しさをピカピカに映えさせているんだろうなあ。やはり有川浩は素晴らしい作家です。

ちなみに、ロボット相撲大会の決勝戦の相手「チーム・メカ次元」。ゴールドライター号を操るのですが、ロボットの名前の由来を司会者から訊かれ「まあ私たちの年代ですとねえ」とメンバーのおっさんたちは笑うのですが、私は分かりませんでした。調べてみたら、80年代に流行った「ゴールドライタン」というロボットアニメから来ているようです。個人的には、次元ときたら大介を連想してしまいます。まあ、これはどうでもいいや…



キケン - 道楽猫の図書室

テーマ : 最近読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

08:07  |  有川浩  |  コメント(6)

Comment

はじめまして!私も本が好きで、いろいろと書評サイトを見てまわってるのですが、こちらは本当に内容が充実してますね!!参考になります。
好きな作家さんが、森見氏ということで、なおさら親しみを感じました。
有川浩さんは、ラノベ作家というイメージがなかなかぬぐえず「クジラの彼」ぐらいしか読んでないのですが、「キケン」には興味を持ちました。『もうあの場所は、俺たちの場所じゃないんだ』って台詞、グッときますね。有川さんへの印象が変わりそうです。
書評、楽しませていただきました!またお邪魔いたします♪
Kiwa |  2011.05.25(水) 09:28 | URL |  【編集】

Re: タイトルなし

kiwaさん

初めまして!コメントありがとうございます。
kiwaさんも森見登美彦ファンなのですね。モリミーの文体って良い意味で癖があり、独自のポジションを取っている気がします。だから、ハマるとなかなか抜け出せないのですよね。

「キケン」も、途中まではラノベに近い書き方だと思います。まあ、そういう読み物だと割り切って、どっぷり浸かってしまうのもよいかもしれません。個人的には、本とは、読みきったときに何を感じるかだと思っています。「キケン」は、ラストがとても感動的でした。

このブログも、最初は真面目な書評ブログとして誕生したのですが、最近は脱線しまくって、読書と全く関係ないケーキバイキングの記事や雑談など、操縦不可能な状態になっている気がします。
こんなブログでよければ、いつでもお越しください♪
ジャイ |  2011.05.25(水) 14:44 | URL |  【編集】

おお、読まれましたか!
ふむふむ。ジャイさんはラストで納得されたようですね。
私はラストで更に興ざめしてしまったのですが^^;
人によって読み方が色々で面白いもんだなぁと思います。
そしてトラックバックありがとうございます。
私もお返しを、と思ったのですが、トラックバックURLが見当たらず…。ごめんなさい。
道楽猫 |  2011.05.25(水) 22:02 | URL |  【編集】

私もキケンを読んだとき同じ気持ちになりました。

あの最後の数ページでぐっとくる&涙がでそうに・・・
前、中半部分で油断しまくってただけにコントラストでやられました!
図書館男子 |  2011.05.25(水) 22:17 | URL |  【編集】

Re: タイトルなし

道楽猫さん

コメントありがとうございます。
トラックバック、ブログを始めた頃は受け付けていたのですが、全く活用しなかったことから今では受け付けていないのです。ご面倒をおかけしてしまい、申し訳ありません。
「キケン」、ラストで感動しないとなると、「これで終わり?」としらけてしまうと思います。
「キケン」という媒体を使って、有川さんが読者を誘導したかった部分ってそこだと思うのです。何となく自分にも分かっていたけど、あえてひょいと乗っかってみました。乗っかってみたら感動しました。自分の過去を回想したりして、なんだかとても良い時間を過ごせました。
ジャイ |  2011.05.26(木) 08:19 | URL |  【編集】

Re: タイトルなし

図書館男子さん

コメントありがとうございます。
確かに!油断していました。ハチャメチャ大学生活の様子が描写されているだけではないか、と。
そこであのラストシーンですからね。
そういう効果も狙って書いていたのだとすれば、スゴイ。

まあ正直、あの黒板が出てきたときは、ああーイラストに頼ってしまったか、文章で表現できなかった?って思ってしまいましたが。
ジャイ |  2011.05.26(木) 08:26 | URL |  【編集】

コメントを投稿する

Url
Comment
Pass  編集・削除するのに必要
Secret  管理者だけにコメントを表示  (非公開コメント投稿可能)
 

▲PageTop

 | HOME | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。