FC2ブログ
2019年06月 / 05月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫07月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告

2010.12.23 (Thu)

明野照葉 澪つくし

澪つくし (文春文庫)澪つくし (文春文庫)
(2009/11/10)
明野 照葉

商品詳細を見る


現代社会とは無縁と思われる習わしや言い伝え。その禁忌を破ったとき、平穏だったはずの世界が、恐ろしいものへと豹変する―。人の死にまつわる不思議な力を持つ家系に生れた女性の哀しみを描いた、著者のデビュー作「雨女」、その続篇となる表題作など、哀しみと恐怖に溢れる八篇を収録した短篇集。(BOOKSより)

短編の一つが著者のデビュー作だということは小説を読んだ後に知りましたが、才能ある作家だなあと感じました。文章の書き方が緻密で、情景が生々しく、怖さを引き立てています。怖さと言っても、お化けがでてくるような怖さではありません。
ギャア!とくるような怖さではなく、するめのように、噛めば噛むほど(読めば読むほど、の例えです。わかりづらい?)怖くなってくるのです。
怖いのは・・・「人間」です。

この小説では、あの世とこの世を繋ぐ話が多く語られています。

短編「かっぱタクシー」が一番面白かったです。
主人公の中年男が運転する個人タクシーに乗せる客は、痴呆症の妻。
個人タクシーでなく、個人用タクシー。
徘徊する妻を捜して、見つけて連れ帰るために個人タクシーを営業しているような一日です。
その車内で、妻が身の上話を語り始めます。もちろん、話している相手が自分の夫だと言うことは、分かっていません。
身の上話に隠されていたのは、おぞましい事実でした。主人公には、それが真実かどうかを確かめる術がありません。
過去、主人公は浮気をしていました。
そのことで妻は精神的に滅入ってしまい、大きな一つの事件が起こってしまうのです。
痴呆の妻のために個人タクシーを走らせるのは、せめてもの罪滅ぼしと言うわけなのです。
しかし、ときどき主人公は思うのです。もしかすると・・・妻は痴呆などではないのかもしれない。
聞かされたおぞましい事実は、主人公に復讐するための嘘なのかもしれない。
もがいて苦しむ主人公が哀れになります。
痴呆が自作自演の嘘ならば、世にも怖ろしい復習劇です。人間って、怖いな・・・

「かっぱタクシー」を読んで、ズーンと落ち込んだ気持ちを回復させてくれたのが、次の短編「三途BAR」でした。
もう一つ「石室」という短編も、あの世とこの世を繋ぐという大きなテーマに則って語られますが、怖さではなく温かさが伝わってくる物語です。
しかし一方で、この二つの短編は、あの世とこの世の境界線が非常に曖昧に書かれています。
いるはずのない人の姿が見える、いるはずのない人の気配を感じる。
もしかすると、境界線というもの自体が存在しなかったりするのかも?
そう考えると、やっぱり怖いのだ。

おそらく、あの世とこの世を繋ぐ=生と死について、それに絡めた人間の恐ろしさというものを筆者は書きたかったのではないかと思います。

テーマ : 最近読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

09:24  |  明野照葉  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

Comment

コメントを投稿する

Url
Comment
Pass  編集・削除するのに必要
Secret  管理者だけにコメントを表示  (非公開コメント投稿可能)
 

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://dorayakibookjai.blog71.fc2.com/tb.php/66-b065e39b

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | HOME | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。